Vulcano Buono (「素敵な火山」:ショッピングセンターの名前)

ナポリ出発の前々日、ナポリ郊外(北東約20km)にある話題のショッピングセンターBulcano Buonoに連れて行っていただく。多分にベスビオを意識したと思われる不思議な外観だが、中はドーナツ状の建物にテナントが入るショッピングセンター(SC)。中央の空洞部分は、多目的広場に使われ、ちょうどコンサート用のステージが設えられていた。

Vulcano Buono - Home || Personalizza

SCの周囲を土盛りし、そこに植栽を施すという突拍子も無いデザインもさることながら、夏季小雨のナポリで植栽を維持するため、膨大なスプリンクラーが稼働していた。円形という建物形状と相俟って、㎡あたりの家賃はお安くはなかろう。実際、シチリアカターニア近郊のSCと同様、テナントの多くは「似たりよったり」のチェーン店やH&MZARA、ALCOTTに代表されるFast Fashionである。

しかし、フランスの大型スーパー「Auchan(オーシャン)」を核店舗として160店に及ぶテナントを擁していること、ナポリサレルノ、カゼルタ3市の中間に位置していること、高速道路から直接入店可能なアプローチを有していること、などから、前述のデザインの奇抜さと相俟って、ナポリ郊外の人気スポットとなっている。

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(高速道路のアプローチから眺めたVulcano Buonoの外観。この中にSCが「埋まって」いるとは想像できない)

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(ドーナツ型の建物は2層に分かれ、6色のシンボルカラーで「現在地」が分かるように工夫されている)

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(店舗の内部。場所を表すシンボルカラーは、隣のブロックに移動するにつれてグラデュエーションしていく。写真は「緑」ゾーンから「黄色」ゾーンを望む)

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(このSCは、当初、行政が公社方式でトラックターミナルを建設するはずだったが、開業後のニーズに不安があり、行政がさまざまな「特例措置」を設けてSCに転用した。最大の株主は物流会社だそうである。公社方式による郊外開発が頓挫し、その後始末にSCを誘致するという流れは日本でもよく見かける。行政自らが中心市街地にとどめを刺した、と皮肉をささやかれる構図である)

 

下は出発前日のアパート。何とか片付きました。夜、マリア先生宅で送別会をしていただく。とはいえ、3週間後には再びナポリ経由でベネチアに入るので、お別れという実感は無い。マリア先生ご夫妻も、ご主人(建築の先生)の学会の関係で、秋にベネチアにおいでになるそうで、専らベネチアの四方山話に花が咲く。

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(10ヶ月間、お世話になりました)