Questa settimana (今週)

12月12日、滞在許可証の呼び出し日。これで終わりかと思いきや、今日が正式な指紋押捺。両手の指10本と掌紋をしっかりスタンプされ、「仮許可証」が発行される。正式な許可証(写真入りプラスティックカード)は、どうやら年明けになりそうな気配(SMSで知らせます、とのことで日時は指定されず)。この日の指紋押捺までの待ち時間3時間15分。

夜、Maria先生と、アパート探しでお世話になったGala先生をお招きして夕食。お二人がいなければナポリでの滞在も研究も成り立ちませんでした。本当に有り難うございます。お二人は初対面だが、イタリアの学会における女性研究者の地位で盛り上がる。当方、しばしば蚊帳の外。

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(左Maria先生、中央Gala先生)

 

12月14日、懸案だったベズビオ(Vesvio)に登る。8合目(約1,000m)までバスで一気に上がり、最後の300m弱(標高1,281m)、約1.5kmが徒歩。遺跡で有名なエルコラーノ駅から、30分(ナポリからの鉄道の間隔)おきにバスが出て、往路のバスは2時間前に降りた客を収容して戻る変速ピストン輸送。最近、火山性微動が観測されたとのことで話題になったが、火口はのんびりとしたものでした。

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(ベズビオの火口。うっすらと噴煙も上がる)

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(有名な登山鉄道の残骸。ケーブルカーとはいえ急斜面を登ったものだと驚く)

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(山頂から見たナポリ市外。この距離なので「ヨーロッパ1危険」もなるほどか。)

 

12月16日は、ナポリ守護聖人、St. Gennaro(サン・ジェンナロ)の「血の奇跡(il miracolo di sangue)の日。305年にポッツオーリで打ち首になったSt. Gennaroの血液がナポリ大聖堂(Duomo)に保存され、年に3回、液体化するという奇跡で、液体化しない年はナポリに災いが降りかかる(といわれています)。

http://www.napolitoday.it/cronaca/miracolo-san-gennaro-19-settembre-2014.html

この3回は、5月の第一日曜日、9月19日(殉教日)、そして12月16日。今回もめでたく液体化し、司教は「今年は3回とも液体化したからナポリは平和、ベズビオも安泰」とのたまった。

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(聖ジェンナロの「聖血」を保管する容器)

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(液体化した「血」が入った容器を手に、明るくミサに臨む司教)

ちなみに身も蓋もない話をすると、この奇跡が世に示されたのは14世紀末(1389年)のことで、今日では錬金術の発達で生まれた一種の水銀化合物と推定されている。一定の条件下で振動を与えると、一定期間液体化するというものらしいが、当然ながらカトリック教会は容器の中身の科学的分析を拒否している。この時期、ヨーロッパの主要都市は、聖遺物を巡拝する巡礼の経済効果に注目しており、こうした経済効果を背景にハイテク聖遺物が生まれたということか。

しかし、液体化しなかった時には、地震、ベズビオ噴火、戦争と大きな災厄がナポリを襲う。最近では、南イタリアに大きな被害をもたらした1980年の地震の年、奇跡が見られなかったという。ま、来る年も安寧ということで。