L'Orientale (ナポリ東洋大学)

ナポリ東洋大学日本語講座の主催による、同僚のH先生の講演会に出かける。ナポリ東洋大学は、1732年にマテオ・リッパが創設したヨーロッパ最古の東洋学の研究機関。日本語講座は「アジア・アフリカ・地中海学科」に含まれている。

f:id:kenjihas:20150309233215j:plain f:id:kenjihas:20150309233243j:plain

(日本語講座が入る建物はPalazzo Corialianoと呼ばれる。1688年に創建され、当初修道院が所有していた建物を、奇しくもL'Orientaleの創設と同年の1732年に、貴族のCorialiano家が購入したため。その後1934年に建物はイタリアのアカデミーの手に渡り、1977年にL'Orientaleが購入した)

H先生の講演は、日本における中国文学の受容がテーマ。まず、王仁の漢字伝来に始まり、万葉仮名を経て真名仮名に至る「漢字の受容とひらがなの創造」で幕を開けた。次いで、四大奇書、とりわけ西遊記の受容と日本独自の物語の展開、近代の鴎外による金瓶梅の援用と続き、最後は谷崎潤一郎の「刺青」における中国古典の受容で締めくくられた。面白く、かつ非常に奥深い内容。この内容を、pptのテキストだけで水が流れるような同時通訳をされたガーラ先生も流石。ガーラ先生を小生にご紹介下さったのがH先生。ガーラ先生のご尽力でナポリのアパートを無事に探せたので、そのお礼をH先生にナポリでお伝えできて一安心。

f:id:kenjihas:20150309233703j:plain

f:id:kenjihas:20150309234408j:plain

(講演会は盛況。正面中央が日本語講座主任のD先生。この教室は地下の大教室。「文化財」であるPalazzoは増築など許されず、唯一の「拡張先」は地下になる。ところが地下を掘れば、大なり小なりギリシャ・ローマの遺跡を掘り当てるのがナポリの中心部。この教室も後部にギリシャ時代の壁があり、そのまま教室内に保存している。ちなみに教室の名前は「Aula Mura Greche(ギリシャの壁の教室)」)

f:id:kenjihas:20150309234738j:plain f:id:kenjihas:20150309234757j:plain

(机上には、学生の苦闘?の跡が残る・・・)

 

さて、調子に乗って講演会後の昼食会までご一緒していたら、なぜか私も講演を行う段取りがついてしまった。ありゃりゃ。