Trapani e Erice (トラパニとエリチェ)

先方の先生の都合で、パレルモでの打ち合わせから次のカターニアでの打ち合わせまで数日間ブランクが空くので、パレルモからカターニアに直接南下せず、西回りで海岸線を回ることにしました。

トラパニはシチリアの西の果て。すぐ東にはアフロディア神殿の所在地という伝説を持つ山上都市エリチェを従えています。現在はノルマン時代の城趾となっているアフロディア神殿を建設したとされるのは、(伝説上では)紀元前13世紀頃、エーゲ海クレタ島を中心に栄えたミケーネ文明の流れを引く技術者(集団)ダイタロス。また、現在のトラパニにカルタゴ建設で知られるフェニキア人が入植したのが紀元前8世紀。いずれのエピソードもシチリアが紀元前から「文明の十字路」であった証左です。

f:id:kenjihas:20150318072742j:plain

(かつて、ミケーア文明の流れをくむアフロディア神殿があったとされるエリチェ山上のノルマン城趾)

f:id:kenjihas:20150318072902j:plain

(エリチェは標高700mを越える山上都市。西に見下ろす都市がトラパニ。トラパニの旧市街は、写真中央に突き出した半島上の部分にあり、南部(写真左側)には塩田が広がる。かつて日本の海岸線にも沢山見られた入浜式塩田だが、(文化財としての保存用塩田を除き)現在では全滅した。トラパニ塩田の見学は時間の関係で断念)

f:id:kenjihas:20150318073237j:plain

(トラパニの名物は魚介のクスクス。アフリカとの距離の近さを実感できる)

f:id:kenjihas:20150318073603j:plain

(西の終着駅。4番線まである立派な駅だが、2両編成の気動車が所在なさげに停まっているだけで、客の姿もほとんど見られない。近郊の都市間輸送は、大方の路線で長距離バス(Pullman)に主役を譲っている)